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揺籃期

ろうあ者が団体を作ることは、明治10年代にろうあ者の教育が始まり、それらの学校を卒業したろうあ者が「なかま」として集まり、同窓会的な集団が形成されていったのが最初である。このことは、時代が下る場合でも同様であり、今日までまとめられた各地ろう者団体の沿革史を散見すれば知り得る。  京都においては明治11年に古河太四郎によって、わが国最初の盲・聾教育が始められ、その卒業生の集団形成が全国に先がけて大正2年に「京都聾唖倶楽部」として結成された。  いずれにせよ、これに加わっていた指導的なろうあ者が、日本聾唖協会なる全国組織の結成に参画し、その支部である京都部会に発展させていったのである。この団体の活動は昭和に入って10年代の終わりまでその跡をたどることは出来るが、やがて始まった日中戦争(支那事変)とそれに続く第二次世界大戦(大東亜戦争)は、そこに集まっていたろうあ者の暮らしともども団体活動を押しつぶしてしまったのである。 「聖世の沢恩に酬いんが為め、・・・・・社会の進運に後れず人類の幸福を亨くるを以て目的とし、・・・・・」 これは日本聾唖協会の目的を示す文章の一節である。前段から当時のろうあ者を含めた国民が受けていた重い軛(くびき)を知ることができ、後段においては、今日の国際障害者年のテーマ「完全参加と平等」につながる願いが込められている。  誠に、この時期のろうあ運動の姿を現すにふさわしいものといえよう。

社団法人の設立と認可

そこに事業場を設け、洋服仕立、軽印刷などを健聴者の指導者と若干のろうあ者が従事する形で建物を使用した。これは漠然と社会福祉事業法にいう授産施設にせんとした一面と、直接には社団法人の認可を得るための基本財産の保持という両面のねらいがあったと推察される。何故なら京都に先立って社団法人の認可を受けた大阪においても、同様な例が見られるからである。  この事業場を基本財産として、京都府ろうあ協会は昭和31年5月10日付で当時の蜷川京都府知事によって社団法人の認可を受けた。だが、まもなくこの事業場は土地の所有者である妙覚寺より立ち退きを迫られ、所有権の経緯や、使用状態の複雑な関係から裁判となり、曲折を経て昭和34年に和解が成立し、立ち退いた。その時の和解金50万円が協会の新しい資本金として引き継がれている。

ろうあ協会から聴覚障害者協会へ

平成6(1994)年2月、社団法人京都府ろうあ協会は名称を社団法人聴覚障害者協会と改称するなど38年ぶりに定款の全面的改正を行った。改称には異論があったが、このころは手話のできるろう者だけでなく、手話も知らない若い聴覚障害者が増加している現状から、そういった若い層に向けて広く門戸を開くために改称を断行したのである。また、会費減免制度の改正を行って経済的に困難を訴える会員の利便を図った。  長く協会の幹部として活躍した平松勝次郎、明石欣造に次いで、川島節郎がこの年に逝去した。協会は深い悲しみにつつまれた。  平成7(1995)年1月17日阪神淡路大震災が発生、この災害における聴覚障害者の情報源としてNHK手話ニュースが安否確認情報のため、近畿地方で中止され、聴覚障害者は情報源から途絶された。全日本ろうあ連盟をはじめ大阪ろうあ協会が抗議し、NHKは謝罪した。この経験により、われわれは独自の情報源を確保することの重要性を意識し、これが後年のNPO障害者放送統一機構の設立に繋がった。阪神淡路大震災救援にあたっては、ろう者組織は大阪ろうあ会館、手話通訳者組織は全日本ろうあ連盟京都事務所とし、京都は救援活動の中心的な役割を果たした。翌平成8(1996)年9月社団法人認可40周年記念式典を挙行した。

全国的な発展を先導する京都

また京都は、この様な運動面における貢献だけでなく、社福京都協会を通じて末路の分野といえる聴覚障害者に関わる手話通訳事業、相談事業、施設事業など全国的福祉事業施策のモデル、パイオニアとして地平線を切り開いていた。それはろう重複障害者施設協議会、聴覚障害者情報提供施設協議会等々の全国的組織として結実している。  ろう者、聴覚障害者に関わる福祉事業は障害者事業の分野では最も遅れていた分野であった。それは、ろう者の人権が尊重されず、それと前後する関係で手話が言語として認識されなかった時代が続いたからである。  手話を認めさせようとするろう者のねばり強い運動を京都に初めて生まれた手話サークルが支えることによって、新しい展望が切り開かれたのである。まさにろう者の福祉の夜明けは京都から始まった。  「完全参加と平等」の道はなお遠く、多くの課題を抱えている。京都から始まり全国的に、国際的に大きな影響を与えたこれまでの成果を確信をもって新しい時代の運動を切り開いていこう。

(京都府聴覚障害者協会社団法人認可50周年記念誌”未来へ”より抜粋)

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